2025.12.3
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【米国特許】「AIはあくまで『道具』である」USPTOが新ガイダンスを発表!AI支援発明の取り扱いはどう変わる?
近年、研究開発の現場でAI(人工知能)の活用が当たり前になる中、「AIが考えた発明は誰のものか?」「AIを発明者として記載できるのか?」という議論が続いていました。
2025年11月28日、米国特許商標庁(USPTO)は、この問題に対する新しいガイダンス(Revised Inventorship Guidance for AI-Assisted Inventions)を発表しました。
今回の発表は、これまでの複雑な議論を整理し、「AIは発明者にはなれない」「AIはあくまで道具である」という原則を明確に打ち出した重要なものです。今回は、この新ガイダンスの要点と、今後の実務への影響について解説します。

1. 結論:AIは「発明者」になれません
まず結論から申し上げますと、米国特許出願において、AIを発明者(または共同発明者)として記載することはできません。
これは以前からの運用方針ですが、今回のガイダンスでより明確に否定されました。発明者はあくまで「自然人(人間)」でなければならず、どんなに高度なAIであっても、それは人間ではありません。
2. 大きな変更点:AIは「共同発明者」ではなく「高度な道具」
実は、2024年2月に出された以前のガイダンスでは、AIの貢献度を測るために、人間同士の共同発明者を決める際の基準(Pannu係数)を当てはめようとしていました。しかし、今回の改訂でこのアプローチは撤回されました。
新しいガイダンスでは、以下のように整理されています。
AIは「道具」である: AIシステムは、顕微鏡や実験装置、データベース、Excelなどのソフトウェアと同じ「道具(instrument)」に過ぎません。
分析の必要なし: 「AIがどれくらい貢献したか」を共同発明者の基準で分析する必要はありません。AIは法的な人格を持たないため、そもそも共同発明者になり得ないからです。
つまり、「AIという『すごい道具』を使って、人間が何を発明(着想)したか」だけが審査の対象となります。
3. 何が審査されるのか?=「着想(Conception)」
AIが発明者になれない以上、特許が成立するかどうかのカギは、AIを使った人間が「着想(Conception)」を持っていたかの一点に絞られます。
米国の特許法において「着想」とは、発明の完成形についての明確かつ永続的なアイデアが、発明者の頭の中で形成されることを指します。
AIがアイデアを出した場合: AIが複数の解決策を提示したとしても、それを選択し、評価し、特定の問題解決手段として認識(着想)したのが人間であれば、その人間が発明者となります。
単なる指示だけでは不十分な場合も: 人間に明確な解決策のビジョンがなく、AIに「何か良いものを作って」と丸投げし、出てきたものをそのまま出しただけでは、人間が「着想」したとは言えない可能性があります。
4. 意匠や植物特許、優先権主張にも適用
今回のガイダンスは、通常の特許(Utility Patent)だけでなく、以下のケースにも適用されます。
意匠特許(Design Patent): 生成AIで作成した画像やデザインについても、人間が創作の着想を持っていなければなりません。
植物特許(Plant Patent): AIを用いて育成された新品種についても同様です。
優先権主張: 日本などの外国出願を基礎として米国へ優先権主張出願を行う際、基礎となる出願でAIが発明者として記載されていると、米国の要件を満たさないことになります。米国出願の願書では、必ず自然人のみを発明者とする必要があります。
5. 今後の実務対応
今回のガイダンス改訂により、実務はシンプルになりました。「AIの寄与率」を複雑に計算する必要はなくなり、従来通り「人間の発明者がどこまでを発想し、認識していたか」を証明できれば良いことになります。
AIを活用して発明を行う際は、以下の点を意識してください。
AIはツールとして使い倒す: AIの使用自体は問題ありません。
人間の関与を記録する: AIが出したアウトプットに対し、人間がどのような評価を行い、どのような修正を加え、最終的な発明として完成させたか(着想に至ったか)のプロセスを記録しておくと安心です。
願書には人間のみ記載する: 発明者欄にAIの名前を書かないようにしましょう。
当事務所では、AIを活用した発明の権利化についても、最新の米国実務に基づいたアドバイスを行っております。米国出願をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
